2018年1月17日水曜日

手紙

オレがばあさんに対して最初に「怖い」と感じた体験は
22歳で「絶対にミュージシャンになる」と気合い満々で上京してすぐのこと
昔の人が書く字体でかなり長文の3枚綴りの手紙が届いた
ばあさんから
それはオレが生まれてから言われ続けてきたクソみたいな「まともに生きなさい」「フルマキ家の名に恥じない男になりなさい」そして「何をやっているんだお前は?」「今すぐ帰って来て就職しなさい」が回りくどく長々と延々綴られていた
怖くなってすぐに捨てたが脳裏に焼き付けられるには十分すぎるほどダメージを受けた恐怖の手紙だった
よし!これからやってやるんだ!と夢見る青年が食らったダメージを想像できるだろうか?どんだけオレを下げる気なんだ、と
身内に反対されてなんか言われたくらいで心が揺らぐようじゃそら夢も叶わないわな

ばあさんだけは本当に本当に本当に怖い
当時から「怖い」の次元が違った
それは90歳を前にした今もオレの中で変わらない怖さがある
恐いんじゃなく、怖い
たぶんまだまだ死なない、オレより長生きするかもしれない
オレが強迫観念を覚えたのはたぶんばあさんのせい
親父がばあさんに育てられてそうなったように、オレにも同じ影響を及ぼしたんだと思う
調べたりカウンセリングされたりして辿った結果ほぼほぼそれで間違いない
ばあさん自身は何の自覚もない
我こそが絶対で聞く耳を持たないまま90年近く生きてきた「昔の人はこうだった」が口癖の頑固な奇人であり、鬼人
爺さんもほとんど同じ、親父は相当辛い思春期を過ごしたんだろうなと思うし尊敬する
オレが親父だったら家出していたと思う

オレの母親は4人姉妹の四女
小学3年の時に父親を事故で亡くしている
母親が女手一つで働きながら4人の娘を育てた
全くタイプの違うオレのもう一人のばあちゃんだ
一緒に暮らしてないからいい印象しかないのかもしれないが
少なくとも聞く耳を持つし、空気をめちゃくちゃ読める女性と思っている
会えない距離じゃないがしばらく会ってない
オレを心配してくれているようだ
この痩せこけたツラを見せたら余計心配するような気もしていて会えない

オレのパーソナルなんてどうでもいいよな
もしオレが不意に●んでもここに記しておけばオレの本音は残ると思ったから

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